理学療法士あるあるとアドラー心理学

今回は、私たち理学療法士がよく直面するシチュエーションのお話です。

 

 

治療意欲と実行のギャップ

 

多くの患者さんが「早く治りたい!」と整形外科に来られます。しかし、実際には、提案した自主トレーニングをしない、または不十分にしか実行されていないことが多々あります。また、お伝えした運動ではなく、テレビでやっていた運動をしているという方もいらっしゃいます。

いったい何をしたいのでしょうか?笑

 

今の体の状態は、今までのその方の歴史であり、長年の結果であります。クセをなおすのが難しいように、その何十年の歴史をどうして多少のことで改善すると思うのでしょうか。

また、あなたの体の状態を直接見た専門家より、まったく個別性のない運動を行うのでしょうか?

ごく普通に当たりまえ的に考えることが欠けているこのなんとも不思議現象…

 

(これはセラピストの能力とは無関係で考えてください)

 

 

アドラー心理学の目的論

 

ここで私自身が腑に落ちたのは一時期流行った『嫌われる勇気』で説明されているアドラー心理学です。

アドラー心理学では、なにか原因があって結果がある、過去があるから未来があるという原因論的視点ではなく、何か目的があって、そこに現在を合わせているというものです。

人は自らの行動の目的を持っており、その状態・行動が最高の状態でなくても、それにより得られるメリットを求めていると考えます。

 

今回の整形あるあるでは、

痛みを治したいといいつつ運動をしないのは、治りたくないからということです。もちろん痛みがあるというデメリットがありますが、例えばメリットとして考えられるのは…

痛みがあるから労ってくれる

家事や仕事をしなくていい、手伝ってもらえる

改善するための努力をしなくていい etc

 

ONE PIECE 32巻のブックカバーの内側にこのような言葉がありました

 

この世は、

思った通りになるのだそうで。

思った通りにならないよと

思っている人が、

思った通りにならなかった場合、

思った通りになっているので、

やっぱりそれは、

思った通りになっているのだそうで。

 

現状や、これから先を変えたいと考える場合

原因論では過去によって未来が決定するため、もう先はどうにもできません

しかし、目的論に従えば、未来は変えることができます。

私は、まず自分自身がこの考え方で生活し、かつ体の改善を考える場合は、自分自身の努力が必要であることはしっかりとお伝えして、その上で一緒に努力していきたいと思います。